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「何してんのー?」
「ちょ、いきなり!? 返してって!」
ボーカロイド。
それは、サンプリングされた人の声を元に、音声を合成して、メロディと歌詞を入力することで機械に歌わせることのできるソフト。
今となっては知らない方が珍しいくらいで、カラオケのランキングでも上位の殆どを占めるくらいよく知られたジャンルの一つでもある。
そのボーカロイドが歌う曲の中でも、ある動画投稿サイトで先月・今月と二ヶ月連続で月間ランキング一位を獲得したヒットソング。
その曲のアウトロが流れる中、歌い終わった金髪の女子がマイクを片手に、隣に座る黒髪の少女からスマホを取り上げたのだ。
「やーだね」不敵な笑みを浮かべ、スマホを取り返そうとする黒髪少女で遊ぶ金髪女子。
一方黒髪少女の方は、虚しくも両手が空を切るだけだった。
「えーっと、なになに……あたしはいまとてもしあわ」
「読むなぁ!」
それは渾身の一撃。捨て身のタックル。
机の上の波々とつがれたジュースなど御構い無しに、決死の覚悟でスマホを取り返しに来た黒髪少女。
金髪女子は思わずスマホから手を離し、黒髪少女はすかさずそれをキャッチした。
「なに、ウチ等のことブログに書いてんの?」
「ブ、ブログじゃないし……小説投稿サイトだし……」
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