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「鯨井くんのままで」
にっこり微笑んでみると、鯨井くんは眉を寄せた。
「……なんで~?」
「さあ?」
それから少しの沈黙が続く。
「ロンって呼んで~?」
「鯨井くんで」
「ロンっ~」
しょぼんと効果音が付きそうな程落ち込み出した鯨井くんは、床に指でなぞっていじけ始める。
別に良いじゃないか。というか、そこまで落ち込まなくても。
今度は僕の横で会長席に座る竹桷先輩が溜息を吐いて言った。
「呼んでやれよ。そして、俺のことも名前で呼べ」
「あなたもですか。嫌ですよ。竹桷せん──」
「帝だ」
「遮らないでください! 竹桷せ──」
「帝だ」
「たけず──」
「帝」
「た──」
「帝」
遮って、最後まで言わせない気かっ!?
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