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「え、何!?」
「スズ、可愛いっ」
酒井先輩が僕の頭を撫でてくる。右側は鯨井くんが、左側は酒井先輩が体を寄せてくる。
僕の周囲にいる竹桷先輩と音華くんと音羽くんは、僕たち三人を暖かな目で見ていた。
なぜ……!?
「鯨井くん!? 酒井先輩!?」
どえしたら良いか分からず、僕は両側にいる二人を交互に視線をキョロキョロと向かわせた。
すると──、
「それ止めようか~」
鯨井くんが僕に視線を向け直して言ってきた。反対側の酒井先輩も僕を上から見ていて、少し唇を尖らして不機嫌な様子。
「それ?」
僕は分からなくて首を傾げた。
「あら~可愛いぃ~」
不機嫌な声音から笑顔になって、機嫌が少し戻った鯨井くん。──なんで、オネェ口調なの。
だけど、それはすぐに逆転する。
「俺のことは~、ロンだよ~」
つまり、名前で呼べと。
僕は一呼吸して、口を開いた。
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