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僕は溜息を思わず漏らした。先輩の前だけど、漏らさずにはいられなかった。
諦め半分。投げ出し半分。そんな気分で、僕は口を開いた。
「帝先輩……」
「まあ、良いだろ。許してやる」
なぜ上から目線なんだ。どこまでも俺様な態度な竹桷先輩──基、帝先輩に少し苛立った。
「スズー! 僕も呼んで欲しいな?」
「俺も呼べ」
音羽くんが抱きついて言って、後から付け足したように音華くんが言った。
「二人は呼んでるじゃないですか」
「そうだよ~! どうして音華と音羽は?呼んでて僕は駄目なの~!」
復活した鯨井くんが口を尖らせたまま不満げに言って、双子を指さした。
「だって、二人同じ名字だと紛らわしいじゃないですか」
「だからって~っ、どうして俺だけ呼んでくれないの~?」
「別に良いでしょ。それに鯨井くんだけじゃないよ。酒井先輩だって呼んでないよ」
「だったら、呼んで?」
「え?」
僕と鯨井くんの会話を中断させたのは、酒井先輩の声により。首を傾げている酒井先輩……癒しだっ!
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