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現在、放課後。
僕、野村鈴音は生徒会室にいた。
「なんで僕なんですか? 副会長なら僕より見合う人がいたでしょう?」
「なぁ~に? すぅーちゃんは副会長になったのがそんなに嫌なの? 普通喜ぶでしょー」
崩した口調で言ったのは生徒会会計の鯨井ロン。白寄りの金髪、瞳は自前の青。ハーフらしく、綺麗で繊細な地毛だなあ。触りってみたい。
楽しそうに笑う姿に、どれ程の人が餌食になったのだろう。餌食と言っても、本当に食べる行為ではなく、正確には「惚れてしまった」のかということだ。
「スズちゃんは僕らが嫌いなの?」
「いえ、そいう訳ではなくて──」
「嫌いなんじゃね」
「いえ、だから──」
「嘘ぉーっ! 「音」が付く者同士仲良く出来ると思ったのにー! そっか、スズちゃんは僕らが嫌いなんだね」
「そうじゃなくて──」
「そうだ。スズは嫌いなんだよ俺たちが。止めとけ、悪足掻きは──」
「聞いてください!」
「怒ったー!」
「キレたー」
全く話の聞かない双子の生徒会庶務、雑楼戯音華、音羽。
二重奏を奏でる双子、兄は音華。弟は音羽。
音羽の「音が付く者同士」というのは、名前のこと。音華の言葉を遮った僕は、ケラケラとソファーで笑い出す双子を見た。
兄の音華は男前な美形。耳に金色の長方形のピアスを一つずつ垂らしている。口調は音羽と違って感情移入がないような適当さ加減だ。
弟の音羽は音華の五センチ身長が低い、百七十七。地毛の茶髪を持ち、口調は子供のようなお茶目で崩している。
可愛いなどと生徒から人気ではあるが、油断してはいけない。
二人に共通している見目は、茶色の瞳だけ。
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