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「あっ、先客だ!」
海岸には既に人がいて、雪がちらつく防波堤を離れた場所から眺めている。
波が高いため近寄れない。
当時の事を思えば、本当に胸が痛む景色だった。
「准一!!」
名前を呼ぶと彼は振り向き、私と信明に向かって大きく手を振っている。
その表情は笑顔で、まるで私たちが共に現れる事を心待ちにしていたような眼差しでこちらを見つめていた。
「遅ぇよ!
雪降ってきちゃったじゃねーか!!」
仕事終わりの作業着のまま。
そして私と信明も、仕事を終えてからここに駆け付けていた。
外灯の薄明かり以外何もない海岸。
波の音を頼りにここまでやってきたけれど、一歩間違えれば海に転落してもおかしくはないくらい視界は悪かった。
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