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真司郎 side
俺は秀太とちょっとだけ遊んだ後
家に帰ろうと
ふと立ち寄った公園の前で
足を止めた。
少し中に入ると
ベンチの上で膝をたたんで
胸の方に引き寄せ
膝の上に顎を乗せて
…辛そうな顔して
遠くの方を見つめる千晃
「 千晃?何してんねん…?」
「 し、しんじろ」
「 泣いてるん?」
「 泣いてないよ…ただ
…疲れちゃったの。えへへ」
「 何に?」
「 ん~…何もかも。」
いまの千晃の話し方は
怖いくらい穏やかで
変に冷静を帯びてる。
なんでや?
いつもなら助けてって
俺とか実彩子に助け求めるのに
何があったんや…
「 真ちゃん…?どうして、どうしてあたしっていつもこうなっちゃうのかな?」
「 え?」
「 なんでこんなにめんどくさいのかな?あたしって…」
「 ちあちゃん、」
「 真ちゃんも実彩子も…西島くんも、みんなみんなあたしの前から居なくなっちゃうの…?」
「 なんでそんなこと言うねんっ」
「 夢…見ちゃったの。
さっきここで寝ちゃった時に」
「 どんな?」
「 みんなが居なくなっちゃう夢…
実彩子と真ちゃんと西島くんだけしか生きてなくて。でもね、実彩子も真ちゃんも西島くんも…っあたしの前から…
居なくなっちゃったの…っ!」
そう言ってから下向いて
自分の腕を ぎゅっと
掴んで
また前みたいな
弱い千晃に戻る。
さっきまでの
穏やかさも冷静さもなくなって
ただ、
なんかに怯えて震える千晃に
俺はそっと声をかける。
「 夢やろ?現実ちゃうねんから。
俺はここにおる、いま千晃の目の前におるやん。なっ?」
「 ……っ」
すると
「 千晃!!!」
俺と千晃は声のする方に
顔を向けた。
「 実彩子…どうしてここにっ…」
「 千晃!心配したんだからっ!!
千晃のママが『 千晃が帰ってこない』って言って私に連絡してきて」
「 え…っ…」
千晃は
微かに聞こえるくらいの
小さな震える声で
" え…っ… "
そう呟いた。
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