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実彩子の後ろから現れた
秀太に構わず
実彩子は話を続けた
「 もう、もう私、千晃がいなくなったらどうしようって、私どうなっちゃうんだろうって…っ!!」
「 その証拠に宇野の足見てみろよ。
傷だらけだろ?必死になって探し回ったんだよ。」
「 …ほら、心配せんでも
秀太も実彩子も俺も、にっしーもおらんくならへんで。」
「 ……でも」
「 それにしてもなんで俺は夢ん中に出てこねぇの?あほ。
ま、そんくらい影薄いってか?」
「 秀太…」
「 千晃らしくていいけどな。」
「 もーう!!秀太ばかじゃないのっ?
涙ぶっ飛んだじゃない!」
「 え?宇野泣いたことねぇだろ?」
「 はぁ~??あるし!ばかばかばかっ!ちび!あほ!ばか!」
「 ばかって言い過ぎや!」
「 秀太ばかじゃん!」
「 ばかじゃねぇーし。」
「 …んふふ。」
いっつもそうや。
秀太のおかげで
俺達は昔っから
場の空気が重くなっても
どんなに喧嘩しても
こうやっていつの間にか
笑い合ってて。
千晃も " …んふふ。 " って
さっきまで泣きそうな顔やったのに
今ではちょっとマシになってて。
俺ってほんまなんもできひんよな
無力さにびっくりするわ…
「 真ちゃん」
「 …どした?」
「 ありがとね?真っ先に飛んできてくれて……ってゆうか通りすがっただけかもしれないけど。」
「 おん」
「 ただの夢の話なのに騒いでごめんね?ほんと嫌な奴だよね~えへへ…。」
「 そんなことないで。もう暗いし帰ろか?」
「 うん。」
「 待て、おい。何帰ろうとしてんのよ!」
「 宇野。男化してっぞ!」
「 うるせぇ、ばか!」
「 またばかって言ったな?」
秀太と実彩子が
騒いでる間に俺は千晃の手を
ぎゅ
と握って、
「 行こか」
そう言って千晃に
微笑んだ。
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