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「 なんでって、見てたらわかるから!!ばかっ…!
真司郎…我慢しなくていいからっ、強がんなくっていいからっ!私の前だけでも素の真司郎でいてよ!!強くない真司郎でいてよっ…!!らしくない真司郎でいてよ!!!」
「 み、さこ…」
「 ばかっ…!!ほ、ほんとに…しん…じろは昔っから…っ…ばかなんだから!!」
「 …~っ…!」
俺は実彩子に抱き締められた。
片方の手で
俺の首に腕を回し
頭を撫でながら
もう片方の手で
俺の背中を優しく叩く
同時に俺は実彩子の背中に
手を回して
シャツを ぎゅっと
掴むと
その途端になんかが切れて
涙が溢れて止まらんくなった
「 …しんっじろう…~っ!!」
俺と同じくらいに
泣きわめく実彩子。
そんときに俺は思った
今までずっと泣きたかったんや…
誰かの傍で安心して
泣きたかったんや
こんなどうしようもない
俺の気持ちを
誰かに聞いてもらいたかったんや
「 …真司郎、宇野。
お前等も幸せになれよ。」
パッと声がした方に
顔を向けたら秀太が
今までに見たことないくらいの
優しくて苦しそうな顔で
こっちを見ながら
そう言って微笑んだ。
実彩子はきっと気づいてへん
でも秀太は
俺の顔を見たら
片手を上げてピースを作り
ひらひらと左右に揺らしながら
背中を向けて歩いて行った
ありがとう…
俺、強そうに見えて
弱いから。
秀太と実彩子と千晃とにっしー…
に、
出逢えて良かった。
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