第二章

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「アキ、この前近所の絵画教室の先生がね。」 ふいに口を開いた母さんの言葉に、食パンにのばしかけた手が一瞬止まる あぁ、またか… そんな僕の心中を すでに知っている母さんは 申し訳なさそうに続きを言った 「…アキのことだいぶ前から知ってたみたいで… ぜひうちの教室で、コンクールに出展してほしいって言ってるのよ。」 「…うん……」 僕はもう一度食パンに手を延ばし 小さく返事をする その返事が了承の意でないことも知っている母さんは 「…もちろん断ったわ。 でもね、アキ… あなたの絵は本当に素晴らしいし、 大きな舞台で活躍できる技術もあるわ。 …それに、あなたの描く絵を今でも楽しみにしている人が大勢いるのよ。 だから…無理にとは言わないけれど もう少し考えてみてね。」 と気遣わしげな笑みを向けた ・
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