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「アキ、この前近所の絵画教室の先生がね。」
ふいに口を開いた母さんの言葉に、食パンにのばしかけた手が一瞬止まる
あぁ、またか…
そんな僕の心中を
すでに知っている母さんは
申し訳なさそうに続きを言った
「…アキのことだいぶ前から知ってたみたいで…
ぜひうちの教室で、コンクールに出展してほしいって言ってるのよ。」
「…うん……」
僕はもう一度食パンに手を延ばし
小さく返事をする
その返事が了承の意でないことも知っている母さんは
「…もちろん断ったわ。
でもね、アキ…
あなたの絵は本当に素晴らしいし、
大きな舞台で活躍できる技術もあるわ。
…それに、あなたの描く絵を今でも楽しみにしている人が大勢いるのよ。
だから…無理にとは言わないけれど
もう少し考えてみてね。」
と気遣わしげな笑みを向けた
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