第二章

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"天才芸術家" "神童" "神の描き手" "孤高の表現者" それが僕 ―東堂 あき― 幼い頃から、絵を描くのが好きで 独学で美術を学んでいた。 ただ好きでひたすら描き続ける毎日、 止まることをしらない芸術への意欲と興味は 若干六歳にして、大人顔負けの作品を生み出せるまでに至った。 出展したコンクールでは常にトップ 年齢制限なしの全国コンクールでは、優勝したことすらあった。 そんな僕は、九歳の時にコンクールという表舞台から完全に姿を消した。 当時、新聞やテレビなどのメディアに注目されていたこともあり 全国的に騒がれたが、今では一般人の間ではほとんど忘れられている。 しかし、美術界では未だに伝説のような話として知らぬものはいないほどで、 東堂 あき という名前を知られるだけで、毎日のように絵画教室やアトリエから誘いがくる。 「…ぅっ……」 唐突に昔、家にマスコミが押しかけ コンクールにでない理由をしつこつ聞かれたときのことを思い出し 思わず、小さく声をあげ顔をしかめた。 ・
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