第二章

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即座に、ゴホンッと咽せるふりをして誤魔化す ただでさえ、仕事で忙しい母さんにこれ以上心配事を増やさせたくない 都合の良いことに、母さんはテレビのチャンネルをまわしていて 僕の若干怪しい行動には気づいていないようだった : : いつものように朝の支度をして、またいつものように家を出る つまらないような同じことの繰り返しだが、それこそが俺の中では心地がいい幸せで… "いつもと同じ"そんな毎日の安定感だけが、今の俺にとって一番の価値あるものかもしれない 「よっ!!アキ今日もはえーなぁ」 「優貴がいつも遅いだけでしょ」 赤信号で止まっていた僕に声をかけてきたのは、高校でできた"親友"と呼べる唯一の存在 名前は ー高城 優貴ー 生活態度はなかなかにだらし無いけど 意外というか、頭が良くて何に対しても器用な人だと思う 「あれ?でもなんで今日だけ早く来てるの?」 いつも遅刻ギリギリの優貴と登校中に会うなんて、今までに一度もなかった
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