夜の街で嘲う

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最寄駅の北口に『その女』は立っていた。 胸元のしっかりと閉じられた、 気高さの表れている黒いドレス そのドレスに袖は無く 左の二の腕にハートが連なっているようなタトゥーのらしきものが覗いていた 裾は膝ぐらいまでだろうか、その下からスラリと伸びる脚は 夜の薄暗さでも触り心地はすべすべであるだろうと予測できた 髪は緩く纏められていて 纏め切れなかったと見られる長い髪が ダラリと体の線を妖艶にぼかしている グリーンクォーツの如くキラリと光る両の瞳と視線が刹那のみ、絡み合った。 そして確信する。 『この人は「その目的」で此処に立っている』ということを。 女が他の魚に食われないうちにと 素早く女の隣に立ち、声をかける。 「誰かを待ってるの?」 「え、」 声を掛けられた女は驚いたような表情を浮かべ、 短く声を発する。 「だから……ほら、誰かと待ち合わせでもしてるの?」 そう聞くと、女は「いえ、」と首を振ってから、 「あっ、えと……彼氏と待ち合わせてます」 そう、ハッキリと口にした。 大人の色気を漂わせながら、その挙動の可愛らしさに 早く連れていってしまいたいという衝動を堪えながら、諦めず次に言葉を紡ぐ。 「待ち合わせ、何時? ちょっと遊んでいこうよ」 「ちょっと……私、そういうのは……」 怪訝そうな表情を浮かべ後退りする女の腰を引き寄せ その耳に甘く囁く。 「遊んでくれたらさ…… ──万、出すから」 どんな愛の言葉よりも、こんな汚い言葉の方が世の中の女を悦ばせられる。 自分達はそうでもしないと女を食えないから。 「………………ちょっと……だけ、なら……………」 ──ほらね。 口元を手で隠しながら答える彼女に、うっすらと笑みを漏らしながら 彼女の腰の下にあるものをサラリと撫でると 彼女はビクリと体を震わせた。
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