夜の街で嘲う

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「まだ二度目なんです……恋人じゃない人とこんなことするのは……」 ドレスを着た女……いや、正確には『ドレスを着ていた女』か。 その女は一糸すらも纏っていない状態で 先程の言葉を漏らした。 啼き声は『男を滾らせることを知っている経験豊富な女の声』そのものだったが 行為に若干の『あどけなさ』があったのと 繋がったからこそ解る『相手が男と経験した人数』から鑑みるに なるほどそうかも知れないと胸のうちで納得する。 女はしきりに時間を気にしながら、 行為後の覚束ない足でシャワールームへと向かう。 そしてしばらくの後に聞こえてくる水の音。 繋がっているさなかの 女の苦しみと快感に揺れる表情、突き上げる度に上がる嬌声、痙攣するかのように震える肢体。 思い出すだけでまた……今度は無理矢理にでも……と、そういった欲望が自身と共に膨らんでいく。 耐え切れずシャワールームへと向かい、その扉を音をたてて開けると 濡れた紫の髪を身体にベットリと張り付けた女が 跳ねるようにこちらを振り返った。 「なんなん……ですか?」 シャワーを止め、濡れそぼつ女はその場に立ち尽くす。 「……」 無言のまま、ただその肢体を食べ尽くそうとシャワールームに足を踏み入れ女の手を掴むと 女は濡れた身体を利用してするりと掴まれた手を振りほどいた。 女は慌てた様子で濡れたままの身体でベッドに乗り 投げ捨てられた下着を身に纏っていく。 その上に、四肢を押さえ付けるようにして乗り上げると 女は短い悲鳴をあげた。 「……嫌……ぁ……」 「ねぇ、もう一度だけ。 お金は弾むから、ね?」 首を振り涙目で拒絶する女に 嗜虐心を擽られたのか、一瞬だけドレスを破いてしまおうかという考えが過ぎる。 そんな名案を押し殺し、自身の最大の欲望を満たす為の提案を女にすると、 女は更に嗜虐心を煽るように目をギュッと瞑り首を振る。 仕方ないからと女の下着をずらそうと手を伸ばすと、 女が口を開いた。
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