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各務明彦は、私にこう言った。
「斑目京壱は、町田睦月を知っていてお前に近付いた。お前は修子の穴を埋める斑目さんの玩具だ」
視界が揺らいだ。
今日はやっぱりこんなところへ来なければ良かった。
そうすればこんな知りたくもないことを聞かずに済んだのに。
この時の私はもう、普通では無かったのかもしれない。
渦巻く嫉妬と、各務明彦に告げられた真実と。
静かなところで話の続きをするという彼の後に付いていくことも、いつもなら絶対に断っていたはずで。
エレベーターに乗り、延々と続く暗闇を抜け、辿り着いたのは誰かのオフィスだった。
各務はドアに寄りかかる私に、息が吹きかかるくらいに迫ってきた。
そして。
「斑目さんと俺は修子をシェアしているようなもんだ。だから、俺がお前をヤったとしても文句は言えないからな」
「や、っだ。離せ、馬鹿」
押し倒されて、ようやく私の鈍っていた頭が回転を始める。
両腕を抑え込まれ、首筋に這う舌はナメクジのようだった。
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