第1章

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。 「ほんと、空が好きなんだな」 「うん」 「授業はどうだ?」 「…普通」 「じゃあ、音楽は?」 「興味ない。出る気なし」 「そうか…」 宮田にしては声が低い。目を開ければ、担任が目の前で青筋立てながら笑顔で俺を見下ろしていた。 担任は見た目は若く見えるが三十路らしい。実際はもっと上だって説もあるらしい ツラは悪くない。だからか、女子からの人気ある。 隣で宮田は爆睡。俺も其れくらい入眠していたらと溜息を吐いた。 むくりと、起き上がりうーんと背伸びをしてからアクビをした。 担任の方に視線を向ければやれやれと言わんばかりに頭を掻いていた。 「もう少しは、気を遣え」 「あー、はい。座ります?」 「そういう意味じゃない。お前な、陣内先生が泣いていたぞ」 曖昧な返事をした。 陣内ゆき子。其れが、音楽の先生。 「…キヲツケマス」 「嘘つけ。どうせ、バックれるだろ?」 「はい」 「此処は、嘘でも授業に出るくらい言えよ」 「そうですね。で、何で此処がわかったんです?」 もちろん、鍵は返しませんよ。と、思いながらポケットに入っている鍵を握り締める。 担任の視線がポケットに集中する。 取られまいと、握る手に力が入る。けど、痛いから力を緩める。 「取らねから。代わりに、音楽の授業くらい出ろよ」 「…考えておきます」 「音楽嫌いなのか?」 頭を振った。 嫌いなわけではない。ただ、陣内先生が苦手なだけ。 あの、体臭? いや、香水の匂いが嫌いなんだ。 正直、あの人が歩くだけで匂いが舞う。吐きそうになる。 「じゃあ、出てみたら?」 寝ていたはずの宮田がジッと俺を見る。 勿論、横に頭を振った。 「あの、ボインにお前は興味ないのか?!」 「全くない」 「先生、聞きました?こいつ、男として…大事なもの無くしてますよ!!もしかしたら、息子いないんじゃ……」 「落ち着け、宮田」 「落ち着けるわけないでしょ!!麻田、ちょっくら下半身出せ。俺が見てやる。お前に息子が存在してるか見てやる」 「いらないよ。つーか、付いてるし」
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