第1章

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ブブブブ♪ メールを送信するとすぐに携帯のバイブが鳴った。 “わかりました。 お鍋の用意をして待ってますね。” お義母さんからの返信。 それを旦那に見せる。 「お義母さんのお鍋、すごく美味しいから楽しみー」 私は結婚する前は家事をまったくしてこなかった。 実家にいたので家事は母がしてくれていた。 結婚が決まってから、母に家事を教えてもらってはいたがやはり付け焼刃。 掃除、洗濯はなんとかなったが、料理がどうしても上手く出来なかった。 それを知ってお義母さんは私を頻繁に旦那の実家へと迎えてくれるようになったのだ。 そのたびに私に料理を教えてくれた。 「料理は愛情が命よ。 お出汁は昆布と鰹節からきちんと取ること。 こうして、こうやって……」 そう言って私に教えながら作ったお義母さんのお吸い物はものすごく美味しかった。 きっと高級料亭に出るお吸い物ってこんな味に違いない。 「うちは一切、本だしのようなだしの素は使わないの。 手間をかけた分、健康にもいいし、なによりも美味しいからね。 料理は楽しいわよ。愛情を込めて楽しんで作りなさい」 「お義母さん……」 そんな料理好きで料理上手なお義母さんのために、北海道のお土産は新鮮な海鮮とちょっと高めの昆布にした。 その具材を使って、今夜は鍋を作ってくれるのだ。 今頃、お義母さんは野菜でも切ってるのだろうか。 あぁ、おなかが減ってきた。
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