第一章

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「おはよー優衣。」 学校に向かういつもの電車の中。 駅を二つ過ぎて、親友の春菜が乗ってきた。 私達が乗り合わせる場所は、三両目の真ん中のドアの近く。 田舎でも、朝夕は通勤ラッシュで人が多い。 「おはよ…。」 …眠い。 昨日はあのバイクを眺めた後なかなか眠れなくて、スマホのゲームをしていたらいつの間にか1時を回っていた。 「なんかめっちゃ眠そうじゃん! あ、バイクの彼が家の側を通る時間が遅かったとか?」 春菜には去年の夏からあのバイクの話をしているあたし。 「ううん。いつもの時間だった。」 「ふーん。 あ、昨日彼氏と電話してたらさぁ…」 春菜の彼氏は他校の生徒で、私達の一つ上の三年生。 彼と付き合って2ヶ月、春菜はいつも嬉しそうに彼氏の話をする。 あー、なんか楽しそうでいいなぁ。 休日デートとか。 『どうしていいかわからないから…ごめんなさい。』 そう言って、去年あたしは人生初の彼氏に別れを告げた。 高校に入学して2か月後に、三年生の先輩から告白された。 その時は好きな人もいなくて、でも付き合うっていうことがよくわからなくて…春菜と、中学の時の友達にも相談した。 とりあえず付き合ってみれば? っていう意見を参考に付き合ってみると、人生初の彼氏はすごく優しくていい人だった。
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