18人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはよー優衣。」
学校に向かういつもの電車の中。
駅を二つ過ぎて、親友の春菜が乗ってきた。
私達が乗り合わせる場所は、三両目の真ん中のドアの近く。
田舎でも、朝夕は通勤ラッシュで人が多い。
「おはよ…。」
…眠い。
昨日はあのバイクを眺めた後なかなか眠れなくて、スマホのゲームをしていたらいつの間にか1時を回っていた。
「なんかめっちゃ眠そうじゃん!
あ、バイクの彼が家の側を通る時間が遅かったとか?」
春菜には去年の夏からあのバイクの話をしているあたし。
「ううん。いつもの時間だった。」
「ふーん。
あ、昨日彼氏と電話してたらさぁ…」
春菜の彼氏は他校の生徒で、私達の一つ上の三年生。
彼と付き合って2ヶ月、春菜はいつも嬉しそうに彼氏の話をする。
あー、なんか楽しそうでいいなぁ。
休日デートとか。
『どうしていいかわからないから…ごめんなさい。』
そう言って、去年あたしは人生初の彼氏に別れを告げた。
高校に入学して2か月後に、三年生の先輩から告白された。
その時は好きな人もいなくて、でも付き合うっていうことがよくわからなくて…春菜と、中学の時の友達にも相談した。
とりあえず付き合ってみれば?
っていう意見を参考に付き合ってみると、人生初の彼氏はすごく優しくていい人だった。
最初のコメントを投稿しよう!