第一章

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すごく優しくていい人だった……けど。 ウォンウォン…… 付き合い始めて2か月後の夏休みの夜、あたしは一台のバイクに目を奪われた。 毎晩家の側を通るバイク。 そのことを特に深い意味もなく、彼に話した。 「いつも決まった時間にバイクが走るんだよねー。」 すると彼は… 「そーゆー男が好きなわけ?」 って。 そこから彼は必要以上にあたしを束縛した。 『土日は部活に行かないで。』 『昼休みは準備室にきて。』 『試験期間はずっと一緒に帰ろう。』 メールも電話も返事をしなければ鳴りっぱなし。 そして友達はもちろん、春菜とでさえ遊びに行けなくなった。 窮屈になって気持ちが冷めてきていたある日。 彼はあたしを押し倒した。 「もう俺、我慢の限界。」 「…っ……!」 学校帰りの彼の部屋。 ブラウスの中に手を入れられて、怖くなった。 …好きじゃない人と、出来ない。 彼はその行為をしようとしたことをあたしに平謝りだった。 原因はそれじゃない。 涙目で彼に別れを告げ、彼はショックを受けたらしく、県内の大学に行くつもりだったのに逃げるように県外の大学に行ってしまった。 …人の進路を大きく変えてしまったことに、あたしは罪悪感でいっぱいだった。
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