第一章

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束縛をされてもいいと思うくらい、彼のことが好きじゃなかった。 ちょっと仲の良い深い友達。 あたしの中ではそういう感じだったのかもしれない。 キスした時も、「付き合う」ってことはこーゆーことするものだと、冷静に考えた自分がいた。 本当に好きな人とはキスしていない。 「あ、ウザくなったんだっけ?」 思い出したように言う春菜。 「まぁ、そんな感じだったかな。」 彼とずっと一緒にいるのが、面倒になっていった。 「っていうか優衣、大人しそうな顔して案外ヒドイよね。」 「えー?そんなの見掛けで判断するからでしょ?」 「ねぇ、本宮先輩から連絡ないの?」 「…あるわけないし。」 あたしの言葉に、春菜はため息をついた。 「だってあたしを今の彼氏と出会わせてくれたのは本宮先輩じゃん? 優衣と先輩がそのまま友達なら、また四人で遊んだり出来るって思ったんだけどな~。」 春菜の彼氏は、本宮先輩と同じ中学だった。 本宮先輩の後輩。 「春菜が彼氏と上手くいってるならいいじゃん?デートも楽しいでしょ?」 「楽しいけどさぁ~…。」 夏はダブルデートで海に行きたかったって、春菜は嘆いた。 学校に着くまでそんな話で盛り上がり、私達はそれぞれの教室に入った。
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