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「地区大会さ、涼が見に来るんだ~。」
そう言って、春菜はため息をついた。
彼女の大会を見に来る彼氏……。
少女漫画のような展開、少し憧れる。
でも春菜は浮かない顔をしている。
「そのため息は何?涼くんが来るなら頑張れるじゃん!」
「だってなんか…負けられない気がしない?
だいたいうちの部は緩いし弱小だし……。」
ブツブツ言う春菜。
春菜は中学の時に結構厳しい部にいたから、今の部は少し物足りないらしい。
「勝ち負け関係なしに春菜の部活姿見たいんだよ~。
それにシングルスだし、いいとこ見せられるんじゃない?」
「そうかなー。
でさ、試合の時もしかしたら……」
がんばれ春菜~!とか声援浴びちゃったりするのかな。
…なんか…いいなぁ。
「ちょっと優衣、聞いてる?」
あたしが色々想像していると、春菜が肩を叩いた。
「あ、ごめん聞いてなかった。」
あたしが春菜に顔をむけると、
「…優衣って、都合の悪いことは、耳に入らないわけ?」
って、春菜があきれた顔をしていた。
「それひどくない?ただ涼くんと春菜の試合中のこと考えてたんだけど。」
「げっ。何それ!」
「がんばれ~とか、声援浴びるのかなぁとか♪」
「わわわ!やめて~それ恥ずかしい!」
「あはは!」
春菜をからかっていると、先輩が次のメニューに入ろうとしていた。
「さ!もうちょっと頑張ろ!」
先輩達に助けられたと言わんばかりの春菜の様子に、あたしはまた笑った。
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