第一章

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次の日。 今日は終業式で、部活は休み。 春菜は涼くんとデートで、あたしは真っ直ぐ家に帰るため電車に乗った。 どこの学校も終業式らしく、高校生が多い。 ボーッと窓の景色を眺めていると、不意に肩をポンとされた。 「よっ。」 振り返ると、高木智也。 中学の同級生。 「トモか……久しぶり。」 乗り降りの駅は一緒なのになかなか会うことのないトモ。 もともと地味ではないトモは、高校に入ってからオシャレだ。 トモはまじまじとあたしを見て、 「…お前少しは化粧くらいしたら?」 って、なんともデリカシーのない言葉をあたしに言い放った。 「久しぶりに会っていきなりソレ? あーやだやだ。 普段部活してるんだから仕方ないでしょ!」 なんて、今日は部活ないけど。 それに、必要最低限の眉毛はちゃんと描いてるし。 とか思いながら、実はズキズキと胸が痛い。 女子力がないって言われてる気がして。 「今日は部活ないんだろ?ヒマ?」 「…忙しい。」 「約束あんの?」 「ないけど。」 「は?忙しくねーじゃん。」 「………」 容姿のことを言われてムカついてます… 何て言えず。
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