第一章

9/23
前へ
/201ページ
次へ
トモとは中学時代3年間クラスが同じだった。 馬鹿言い合ったりで、付き合ってるんじゃないかって噂がたったこともある。 正直、トモのことが好きかもって思ったこともあった。 だけど。 トモには彼女がいた。 何も考えていなかった鈍いあたしは、トモとからかい合うことをやめなかった。 あたしは、それが気に入らなかった彼女から呼び出しをされ、彼女の友達にまで色々言われた。 トモと話さないで。 トモと仲良くしないで。 トモに近づかないで。 ……そんなこと言われても、トモのほうからあたしに来るし。 そう思っていたけど、気の弱いあたしはトモを無視した。 それから……… ドキン…。 脳裏を過るのは、卒業式のあの日のこと。 あたし、トモに……。 「ヒマならうち来ねー?ゲームしようぜ。」 トモがニッと笑ってあたしを誘った。 なんだかなー。 いくら昔少しだけ仲良かったにしても、こんなイケてる風の男の横にいたくないんだけど。 そう思いながら、どうせヒマだしと思ったあたしは、トモの家に行くことにした。 「じゃあ他にも誰か呼……わっ!」 電車が横に揺れて、あたしは思わずトモの腕を掴んだ。
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加