第六章

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「玲。僕は…勘違いしてた。此処に来てからの玲は人が変わったように冷たく、距離を置いててさ…。でも、新八さんや左之さんに言われてさ…」 私は首を振った。 そうしてしまったのは間違いなく私だ。 藤堂組長は何も悪くない。 「総司は変わってなかった。何もかも。ねぇ、玲。ごめんね…」 私は藤堂組長の頬にゆっくりと手を伸ばした。 こんなこと忍の私には許されないこと。 けれど、そんな泣きそうな顔をしないで… 「へ…すけ……駄目…だ……」 上手く話せない。 どうか、こんな姿でこんなことしか言えない私を許して下さい。 藤堂組長は頬に触れた私の手をそっと包み込んだ。 そして、笑った。 久し振りに私の前で笑ってくれた。 それが見れただけで満足だ。 私は眠気に誘われるがままに目を閉じた。
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