第六章

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「そういえば、山崎くんは?」 「部屋で寝てる。傷は多いがどれも致命傷になるほどではない。」 監察方がこれで二人。 それも新撰組きっての実力があるものばかりだ。 「副長、少しよろしいでしょうか…」 襖の向こうから声がした。 監察方の者だ。 「平助、頼むぞ。」 土方は部屋から出ていった。 珍しいなぁ… 土方さんがあんなに焦るなんて。 まぁ、玲のことだから仕方ないか。 「何だ?」 「これを。」 監察方は言葉にはせず、文を渡した。 『間者を割り出しました。 全て、長州。頻りに出掛けては同じ店に出入りしている模様。』 文には名前が六人書かれていた。 それを見た土方は舌打ちをした。 「こんなに紛れていやがったか…」 「どうなさいますか?」 「……見張っておけ。とりあえずはな。」 玲の言う通りだった。
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