第五章

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「帰ってきてないのか……」 「芸子に成り済ますと言ったきり…」 私は溜め息を吐いた。 全く… 私に気を付けろと言っておいて自分は気を付けなかったのか。 私は隠してあるクナイの本数を確認し、口元まで布を上げた。 「私が行く。あとは頼んだ。」 私は屯所から出た。 何処にいるのか見当もつかない。 けれど、気になることはある。 吉田の存在だ。 もし姿がバレていたら… とんでもないことになる。 「玲、あの男を探してんのかー?」 「うるさい。伊賀忍には関係ない。」 私の前に現れたのは翠だった。 私にしたこと、忘れたとは言わせない。 私はクナイを取り出し、構えた。
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