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――助けて、誰か……
消え入りそうな小さな声。
俺は校舎内を見回す、だが人の気配は無い。
それもそのはずだ、何故なら自分は今、夜の校舎を歩いて居るのだから。
赤井和真
アカイカズマ
彼は一人、夜の学校を探検していた、理由は肝試し。
離れの学校に、現在は使われていない廃校がある。
和真はそこを探検していた。
俺が一人何じゃない、孤独を望んでいるだけだ。
それが和真の決まり文句。
「はぁっ、にしても。ここ広過ぎねぇか?ただでさえ道に迷ったってのに……」
ピチャンッ
独り言をぶつぶつと呟いていると、今度は何処かで水の落ちる音がした。
見えないはずなのに、徐々に恐怖が押し寄せる。
俺は怖さのあまり、歌を唄う事にした。
「っ~、るる~。ふ~ん……?」
可笑しい、この突き当たりに下り階段があったはずだ。
――助けて……
驚いていると、またあの声がした。
かなり近くから聴こえる。
「何だよっ、誰なんだよ?」
思わず震えながら言う、しかしそれが間違いだった。
突然、背後から気配がした。
そして寒気までもが走る。
(おい、何か。やば……)
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