第1章 悪夢

2/13
前へ
/50ページ
次へ
――助けて、誰か…… 消え入りそうな小さな声。 俺は校舎内を見回す、だが人の気配は無い。 それもそのはずだ、何故なら自分は今、夜の校舎を歩いて居るのだから。 赤井和真 アカイカズマ 彼は一人、夜の学校を探検していた、理由は肝試し。 離れの学校に、現在は使われていない廃校がある。 和真はそこを探検していた。 俺が一人何じゃない、孤独を望んでいるだけだ。 それが和真の決まり文句。 「はぁっ、にしても。ここ広過ぎねぇか?ただでさえ道に迷ったってのに……」 ピチャンッ 独り言をぶつぶつと呟いていると、今度は何処かで水の落ちる音がした。 見えないはずなのに、徐々に恐怖が押し寄せる。 俺は怖さのあまり、歌を唄う事にした。 「っ~、るる~。ふ~ん……?」 可笑しい、この突き当たりに下り階段があったはずだ。 ――助けて…… 驚いていると、またあの声がした。 かなり近くから聴こえる。 「何だよっ、誰なんだよ?」 思わず震えながら言う、しかしそれが間違いだった。 突然、背後から気配がした。 そして寒気までもが走る。 (おい、何か。やば……)
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加