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――助けてって言ったのに。
先程の声と同じだ、それが直ぐ真後ろから聴こえ、俺は振り返る。
だが、誰も居ない。
和真は首を傾げると、可笑しいなと思いながらも他の出口を探す。
暫く廊下を歩くと、図書室に着いた。
「えっ、おい。嘘だろ?開いてる……」
見間違えで無く、閉鎖されているはずの扉が開いていた。
ガタンっ……
と、それに気をとられていると、図書室の奥から謎の物音がした。
和真は一瞬、身震いしながらも中に入って行く。
単なる好奇心、そのものが彼の心を動かしていた。
キイッー
直後、扉が閉まる。
「やばい、閉じ込められた!」
慌てて扉に手を掛ける、だがその手をナニかが掴む。
――ありがとう……
またあの声だ、恐る恐る和真は振り向く。
そこには、同い年くらいの少女が立っていた。
「夜の学校ってさ、何か良いよね?」
彼女は俺に話し掛けてくる。
「あっ、私ね。図書室に入ったら閉じ込められちゃって、困ってたの」
少女は苦笑いを浮かべて事情を説明してきた。
和真はそんな彼女に思わず爆笑してしまう。
「ちょっと、笑ったでしょ!」
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