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少女は頬を膨らまして軽く睨みをきかせた。
「悪りぃ、あまりに可笑しくってさ!」
和真は腹を抱えて笑いながら言うと、再び扉に手を掛けた。
しかし、その手をまたしても彼女は止める。
「何だよ、まだ用かよ?」
「しっ、誰か来る……」
少女は人差し指を口元に立てて小さな声で呟く。
そう言えばと、和真は扉に耳をあてる。
タッタッタ……
此方に誰かが走ってくる足音がした。
(こんな時間に、誰だ?)
まぁ、俺らも同じだが。
そう思いながら扉の前に少女と身を潜める和真。
ガタガタっ
その直後、図書室の扉が強く揺れる。
当然だが窓は開いていない。
風だって、こんな真夏には殆ど吹かない。
暫くし、足音と揺れは止んだ。
「よし、そろそろ行くか?」
俺は安全を確認し、少女に声を掛けようと振り返る。
だが、彼女の姿は何処にも無かった。
(あれっ、あいつ。何処行った?)
消えた少女、先程まで確かに目の前に居た。
音が聞こえなくなると同時彼女は姿を消していた。
「何だよ、まさか。幽霊だったのか?」
あれが幽霊だとしても全く怖くない。
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