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「さてと、階段は確か。こっちだよな……」
図書室から出て、出口を目指す為、下り階段を探していた。
暗く明かりの無い長い廊下。
電球は等の昔に撤去されている為、僅かな月明かりが頼りだった。
一歩、一歩と歩く内にようやく階段が見えて来た。
三階建ての古びた廃校、俺がここに探検しに来たのは学校内にある噂を耳にしたからだ。
(何だよ、あの噂。本当だったのか?)
先程通り掛かった廊下の突き当たり、そこには無かったはずの下り階段が存在していた。
この廃校は、朝と夜とでは階数が違う。
普段は二階建てだが、夜満月になると無いはずの三階が存在する。
あの声はもう聴こえない。
和真は軽い足取りで階段を下りた。
「特に、変わった事無かったな?所詮噂だったのか」
何てぼやきながら昇降口に向かう。
だが、夜に探検するルールを一つ、俺は忘れていた。
「ふわぁあっ、眠いな」
目を擦り、欠伸をした。
――見付けた……
と、その瞬間、あの声がした。
廃校を肝試しするルール、それは欠伸をしてはならない。
何故なら、命を狙われるから。
「えっ、今何か聴こえ……」
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