第1章 悪夢

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兎に角、担任が来る前に教室に着こうと俺は走る。 道中、息が切れそうになるが呼吸を整えて何とか頑張る。 「たくっ、まじ面倒いよなぁ」 寝不足でだいぶ体力が疲労していた。 ここは結構な通学路だが、生徒は一人も見当たらない。 恐らく皆はとうに、教室に着いているのだろう。 「っ、可笑しい。人が見当たらない……」 何時もなら近所で吠える犬の鳴き声がするはずが、今日は犬の姿さえ無い。 やけに静寂過ぎる。 「あっ、君。昨日の?」 訝しげに辺りを見回していると、少女が話し書けてきた。 和真は嫌々そちらを向く。 もう逃げようかと、足を早める。 「ちょっと、昨日は私を置いて行ったでしょ!」 少女が可笑しな事を言い出す。 「はっ?お前が勝手に居なくなったんだろ」 和真は馬鹿にされたと思い、苛つきながら言い返す。 しかし彼女は、首を傾げながら知らないと言ってきた。 「本当か、なら何で急に消えたんだよ?」 「気が付いたら、この場所に居たの。けど何か周りが少し昔みたいで……」 少女は見苦しい言い訳を並べる。 だが表情からして、嘘を言っている風には見えない。
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