その1 再び蘇るかませ

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帰り道雛形が『ちょっと寄り道しない? お礼するわよ』と言ったので付き合うことに…。 しっかし色々と一学期の始業式と似たようなことがよく起こるな…ま、いいか。 「え…コーヒーゼリーは駄目よ? こっちのプリンにしましょうよ」 「美味しいからいいだろ? 『何でも一品奢るわ』と言ったのはお前だろ?」 「駄目 ほら、バケツプリンでも買えば…「売ってるわけないだろ」」 「もー! そんなに言うと奢らないわよ?」 「冷たい奴だな」 何を揉めているのかと言われれば、雛形がそんなに値段も変わらないのに『コーヒーゼリーを買うのはわたしのポリシーに反するわ』と言いだした。 何故か俺の周りはコーヒーゼリーを嫌う奴が多い。 あと萌やし 雛形もその例に洩れず、というか俺の知る中で一番コーヒー類が嫌いだ。 よく考えてみれば雛形に他のものを奢らせて自腹で買えばいいのだが… 『駄目よ』 と、また断られてしまった。 面倒くせえ…。似非ツンデレ(頻度が減ってきたが)面倒くさい女だな本当。 というわけで・・・・・ 「どう? チョコプリン美味しいでしょ?」 「誰もプリンが嫌いとは言ってないだろ? 美味いよ」 「そう! 美味しいでしょプリン!」 俺の言葉にかなり嬉しそうな雛形。 自分は一口で食ってしまったからかどこか羨ましげだ。 つかさっきから胸がプリンのくせにプリンプリン言うな。 こっちが恥ずかしいわ。 ・・・まあ分かるとは思うが結局のところ俺が折れ、家の近くの公園のベンチに腰掛けて俺はチョコプリンを食べている。 ちなみに雛形はあれだけプリンを推しながら、自分はゼリーを食べている。どういうことなの 「ふう…最近食ってなかったがうまいな」 「・・・・・・」 「? どうした急に黙って お腹痛いのか?」 「ううん」 雛形の返事がないのでそちらを向くと、どこか儚げな表情をしている。 俺の質問に即座に首を振る辺り体の調子が悪いわけではないのか? 「本当は…本当はどこに行ってたの…?」 雛形は俺の顔をじっと見て呟くように言った。
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