その1 再び蘇るかませ

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「ありがとね雛形さん、羽藤さん」 「「どういたしまして」」 数分後大乱闘の末遠世は救出された。 だが待て。遠世は2人に感謝しているようだが、雛形はともかく絢は他のクラスメート同様勧誘しかしていなかったぞ? 「それにしても…うへへ 遠世さん本当にかわいいなあ…」 「あ、うん ありがとう…(あれ?この前会った時こんなのだったかなあ?)」 「ちょっと絢!? なんかすごい顔になってるわよ!」 「エロおやじみたいな顔ですね」 絢の言葉で、言われた遠世だけでなく雛形と栗原まで引いている。 その気はあったが、なにも今ここで言わなくても… 「それはそうと、鈴音 この前も思ったけどずいぶん印象が変わったね どうしたの?」 「……」 裕也の言葉にうつむき、黙る遠世。 『空気読めよ』と言ってやりたいところだが、こいつの知る遠世は家が燃えた後引っ越ししたということになっていたはずだ。 前に絢に言った俺の中学で自殺だの殺人だのがあったということは、実際は学校や警察やその他もろもろによって隠蔽されている。 だが、当時それを真に受けていたのは裕也くらいしかいない。 ま、いつも一緒にいた友人が勝手にいなくなるなんて普通なら信じるわけねえわな。 「…裕也さん、女は秘密がある方が魅力的なんですよ」 裕也同様中学生の時の遠世の顛末を聞いていた栗原が話を逸らす。 それどこ情報だよ… 「遠世さんが浮かない顔しているんだし、あまり聞かない方が良いと思うな」 「そうね…転入一日目なのにひどいわね裕也は」 絢と雛形も同意している。 ・・・いや、雛形はなんか違うか。 「…ええと、遠世は俺達と帰るんだな?」 「当たり前だよ親友」 放課後になってようやく遠世の周りから人が消えた。 どうやら昼休みの雛形とうなぎさん(いつの間にか消えていた)の努力(という名の暴力)がきいたようだ。 終礼後すぐに遠世がやってきたので、確認のため繰り返し聞くと『何言ってるの?』と呆れた顔で返される。 …なんかむかつく。 そんなことを思っていると、突然裕也が話しかけてきた。 「あ、真一 僕たちちょっと用事があるから先に二人で帰っててよ」 「は?」
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