プロローグですらないなにか

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「もしかしてお金に余裕がないのかしら?」 幸い俺の読んでいた通りだったようだ。 しかし呆れた表情は変わらない。まさか両方なのか? 俺は『誤解だ』と言うかのごとく首を横に振り、理由を話す。 …とはいっても本当に大した内容ではないのだが。 「新たな趣味に使うためだとよ 因みに希望のバイト先は近くの本屋だ」 「趣味? 珍しいわねあの子がそこまでするなんて」 雛形もかつていじめの対象にされていたこともあって、ある程度真奈の性格は分かっている。 少なくともかつての真奈ならばそれだけのためにさらに時間は費やさないだろう。 そんなことをするなら夏休みにできた小さなお友達と遊ぶのに使う方がありえそうだ。 「まあ真奈のことは別にいいだろ で? 誰か呼んでくれねえか? それとも辞めるか?」 俺としてはどうでもいいんだがな。 雛形はそこで自分の来た理由を思い出したのか、はっとした表情で携帯を取り出し、かける。 「…もしもし? 今日暇なら来てくれないかしら? ええ、それでも構わないわ じゃあまた後で…」 そう言って電話を切る。 一体誰にかけたのだろうか? あまりいい予感はしないのだが…。 「もうすぐ来るそうよ 場所は伝えてないけれどたぶん大丈夫でしょ」 「誰呼んだんだ?」 何が構わないのか俺気になります! …嘘だ。正直どうでもいい。 問いに雛形は『来てのお楽しみ』とばかりの笑みを浮かべている。 …いや、そのフリは絶対ロクなやつこねえだろ…。 俺としてはてっきり雛形と仲のいい見た目がロリの同学年である大葉鳴辺りと予想していたのだが…。 当然俺の予想は悉く外れていたようだ。まぁ鳴相手なら雛形もそんな口調をしないはずだしな。 ~十五分後~ 取りあえず玄関に立たせるのもどうかと思い、雛形を中に入れて座らせる。 面倒ながらおもてなしをしていると再びチャイムが鳴る。 「とはいえだな…」 玄関の戸を開け、そこにいた人物たちを見てため息を吐く。 「お邪魔します」「お邪魔します先輩」「お邪魔するね真一」 何で三人もいるんだ?
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