その1 再び蘇るかませ

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「ノックしてもしもーし」 絢の家にたどり着いた俺は”コンコン”とノックを行う。 何故インターフォンを押さないのかといえば・・・万が一情事が行われるとパニックになってアレがあれするかもしれないし。 もちろん嘘だ。 特に理由はない。 「夜になると少し冷えるわね…上着着てくればよかったわ」 「ジャージなんだし走って取りに行けばいいだろ」 「………絢いないのかしら?」 鳴が馬鹿を見るような目で俺の言葉をスルーしている。 …Mじゃないから感じねえよ。 「インターフォン押せばいいんじゃないかしら『はーい ちょっと待っててください』…まだ何も押してないわよ!?」 何で一人でツッコんでるんだ? それはともかく絢はまだ家にいたようだな。 天音と食べに行ってたら待ちぼうけ食うところだった。 少し待つと扉が開き、 「こんばんは真一 ・・・と大葉さん? なんで二人でいるの? ご飯がないの?」 「わたしは違うわよ! あなたのところに響がいるって真一が言ってたから…」 確かに飯食う理由でさっき家に行ったけど、そういう扱いはひどいんじゃないかと俺思うんだけど… 鳴の話に『あー、天音君のことか』とつぶやくと 「うん、まあとりあえず上がってよ まだ天音君はうちにいるし」 「一人暮らしなのに男いれるって危機感持ってるのかよ…」 対応の軽さに呆れてため息を吐く。 もう時すでに遅い気はするがな。 俺の言葉に絢は『何言ってるの?』と言った表情をする。 「真一はうちに泊まったでしょ? 今更何言ってるのかな?」 絢は呆れた表情をしている。 それを聞いて黙って絢について行く鳴が驚いた表情をする。 「アンタ…クラスの異性の家に泊まったの!? 黒井や詠理もいたんでしょうね?」 「いや、男は俺一人だな」 幽霊はいたけど。 「………アンタ黒井のこと言えないわよ」 「何の話だ?」 「…絢、どうして響があなたの家にいるのか聞いていいかしら」 無視かよ。 俺が裕也について何か言ってたっけか…? 「とりあえず部屋についたら話すから…怖い顔しないで、ね?」 「わ、わかったわよ…こら真一! 早くついてきなさいよね!」 「あ、ああ…」 裕也について…リア充爆発しろくらいしか浮かばんな。 って今はそれはどうでもいいか。 鳴の怖い顔が気になりつつ、絢について行く俺達であった。
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