その1 再び蘇るかませ

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やがて絢は一つの部屋の前で立ち止まり、俺達を中へ促す 「さ、どうぞ 二人とも真一が来ることは知ってたみたいだし」 「知ってた? つか二人って誰だよ 天音ともう一人いるのか?」 聞いてみるが絢は何も言わずただ意味深な笑みを浮かべている。 その後ろから鳴が部屋へ入る。おい、お前が入ると相手の人びっくりするだろ。 『やっと来たか木崎………え、大葉さん!?』 『こんばんわ響 わたしを放っておいて他の女と付き合うなんて許さないわよ』 『え、いや別に付き合って…ギャー!!』 「「・・・・・・・」」 一体部屋の中で何してるんだ天音と鳴は…。 なんか俺達入りづらいんだが。 しっかし… 「なぁ、絢 俺を待っているもう1人誰だ?」 「中に入ればすぐわかるよ すっごくかわいいんだから!」 「?」 天音が女装してたら鳴が爆笑するだろうし違うよな。 ・・・つまり女の子が俺を待っているのか? 誰だろう…? 少し待っていると、天音の悲鳴が収まった。 と、そんなタイミングで俺は1つどうでもいいことが頭をよぎった。 「…絢、鳴が暴れていたのに天音以外の声が聞こえなかったんだが」 「そういえばそうだね トイレにでも行ったのかな?」 「トイレって…」 俺の周りには女子力の足りない女が多いな…。 流石の鳴も見知らぬ人の前で天音に暴力を振るわないはず… つまり、中には天音と鳴以外いないということだ。 そもそも待っている人が嘘の可能性もあるが…まあいい、入ろうか。 「お、おい天音大丈夫かよ…」 「何で俺がこんな目に…ぐふっ…」 「やりすぎてしまったわ ところで真一に何のようなの響?」 「喋れねえだろそこまでボコボコにされたら…」 俺の目の前には短時間でボロボロにされた天音が畳の上に倒されている。 横にいる鳴は知らん顔だ。 …客間らしいこの部屋には俺ら3人と絢以外誰もいないようだ。 本当に2人もいたのか? …あと天音大丈夫かよ。 「なぁ絢「あ、来たみたいだよ」ん?」 俺の言葉を遮り、絢がそう言った。 確かに階段を上って来る音がする。 一体誰なんだろうか? やがてその音は大きくなり、そいつは部屋へ入ってきた。 「お初にお目にかかります真一君 許婚の木崎真琴でございます♪」 黄緑色の髪を腰の下まで伸ばし、今時珍しい葵の着物を着た美人が現れた。 「「ええ!?」」 じょ、状況がさっぱり読めねえんだけど!?
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