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side 真奈
「・・・というわけでバイト掛け持ちしようと思うんだ」
「へぇ、ついに決心がついたんだね真奈リン」
ボクが話し終えると、同級生で兄さんの後輩でもあるうなぎさんがうすら笑いを浮かべる。
この子は一見変わった猫耳の子だけれど、時々おかしな一面を見せるので、兄さん同様ボクもあまり信用していないんだ。
・・・とはいえ、今回はまともに頼れそうな人がうなぎさんくらいしかいないから仕方ないんだよ。
氷波ちゃんとえーりんたちは頼りないし、数陽ちゃんたち大学組は事情を知らないもん。
「うん…とはいえまずは鳴先輩に協力してもらわないとね」
「鳴ちゃんセンパイ? あのちびっこが何の役に立つの?」
「…口悪いね 部活の先輩のはずなんだけどなあ」
うなぎさんはボソッと言った言葉を聞いているのかいないのか相変わらず君の悪い笑みを浮かべている。
…やっぱり会長さんたちに頼むべきだったかな?
なんか気味悪いんですけどこの人!?
知り合って半年近く経つけど何考えているのか全く分かんない人だなぁ…
「でもそれだけの話ならセンパイに相談すべきじゃない? そもそも収入源どうなってるの?」
「ボクの話聞いてたの…?」
うなぎさんの質問は全部説明したつもりだったんだけどなぁ…。
さっきの含み笑い何だったの?
それにしても兄さんやリンちゃんといるときはまだまともなのにどうしてこうポンコツになるんだろ?
「わかったよ…もう一度説明するからちゃんと聞いててよね」
「うむうむ」
「・・・・」
どうしてボクがバイトを掛け持ちしないといけないのかと言えば、昨日通帳を見たら残金が心許なく、このことがバレてしまえば兄さんまでバイトしなくちゃいけなくなりそうなんだよね…。
兄さんは目つきが悪いからきっとどこも採用してくれないだろうし、ボクが頑張らないといけないんだ!
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