13人が本棚に入れています
本棚に追加
/94ページ
~羽藤家~
『ええと…木崎さんといったか? 俺と同じ苗字らしいが、許婚ってどういうことなんだ?』
この間血のつながらない弟からそんな話を聞いたような気がするが…俺はちゃんと断ったはずだよな?
あの野郎…
つか日本人のくせに黄緑色の髪の毛って何でだ?
目の色もなんか黄緑だし…こういう人がいるのに俺は今だに腐り切った目や髪の色だと言われるのは理不尽だと思うんだ。
ああ、理不尽…
『おーい木崎、放心してないで話を聞いてくれないかな?』
天音が俺に向かってそう言った。
あれ?そういえばなんでこいつ絢の家にいたんだっけ?
『なんだ天音 浮気の誤解は解けたのか?』
『いや、誰とも付き合ってないからね!? そんなことより真琴さんについてだよ』
『・・・少し恥ずかしゅうございます//』
そう言うとみんなの視線は黄緑に集まる。
視線を集めた黄緑は恥ずかしそうに頬を赤らめた。
それはいつの言葉だよ…その時代の人に謝れよもう
『さらってきたなら実家に帰してやれ 真奈曰くなんかの本家の人らしいからな』
俺は何のことかさっぱりだが、真奈は何か知っているらしい。
真奈の奴いつも俺に隠し事してるよな…
本家って一体何なんだろう?
俺の言葉に天音は苦笑いする。
『そんなことさせられないよ これはうちに頼まれた依頼だからね』
『依頼?』
『響の通っている雑用部に届いた依頼のことでしょ あそこにはそういった依頼がよく来るのよ』
俺が疑問符を浮かべていると鳴が答えてくれた。
以前は鳴もその学校に通っていたので詳しいのだろう。
だが、お嬢様を連れて歩くというのはいくらなんでも・・・。
『それで俺にどうしてほしいんだ?』
『俺としてはこの真琴さんを連れて帰ってくれたらいいよ それ以上は頼まれてないし』
天音が腹を抑えながら答える。
・・・まだ鳴に殴られたところが痛いのか・・・
連れて帰る…か…
俺は黄緑をじっと見つめてみる。
彼女は正座をして何故か絢の方をじっと見ている。
もしかして絢の知り合いだったりするのか…?
絢の方を見てみると、俺が見たのに気付いたのか首を振る。
まだ何も言ってねえよ…
『絢の家に置いて行けばいいだろ』
『いや、何で私なのかな? 天音くんの話聞いてたの?』
最初のコメントを投稿しよう!