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「ねえ、何で僕達今勉強してるのかな? ついさっきまではこれから何して遊ぶかを考えてたはずだよね」
そう言いながら数学の教科書片手に雛形に微分とは何かを説明する裕也。
因みに言っておくと裕也の言う”僕たち”とは雛形と裕也、そして傍らで雛形の残された宿題を見て途方に暮れている絢だけだ。
「…漢字の書き取りすら終わらせてないってどういうことなの雛形さん?」
「ひいい…!? ご、ごめんなさい!!」
「高校生にもなって宿題をほとんど終わらせてないなんて…馬鹿なの? 胸に栄養吸われたの?」
「こ、怖いわよ絢!! 謝るからその怖い顔やめて!!」
「ねえ、絢…勉強進まないから黙っててね」
絢曰く終わっているのは課題作文のみで、国語数学理科社会英語・・・全て手を付けていないのだとか。
そりゃあ絢でも怒るわな。毒舌だし。
では俺と栗原はと言えば…
「あ、私弁護士になりました」
「俺三人目の子供だ 金よこせ栗原」
「ま、またですか!? コウノトリさん過労死しますよ」
「………」
雛形の持ってた人生ゲームで遊んでいる。
俺らはあの二人と違って人にものを教えるほど学力が高くないからな。
…にしても栗原は保健の授業真面目に聞いてるのか?
お、四人目誕生。
「…手伝ってくれないかな真一 僕はもう疲れたよ」
「嫌だ」
十分後、雛形のあまりの呑み込みの悪さに微妙に愚痴モードに入っている裕也が俺に話しかけてきた。
別に今いいところだから離れたくないということもあるのだが、それ以上に雛形の頭の悪さを知っているからである。
それでよく留年しないなと常日頃から思ってるんだよな…。
「先輩…借金手形ください… 何で私ばっかり借金増えるんですか?」
「うぅ あたしも遊びたいのに…」
「詠理さんが宿題終わらせてないから悪いと思うんですけど…私でももう終わってますよ?」
「当たり前だろ」
栗原の言葉に突っ込む。
こいつが宿題終わっているのは間違いなく裕也に手伝ってもらったからに相違ない。
何故なら彼女もまた割と馬鹿だからだ。
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