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氷波ちゃんを連れて着いた先は、行きつけの八百屋さん。
ボクたちの住んでいるところはデパートとかないんだよね…。
まあその分店の人に顔とか覚えてもらえるんだけど…
何で誰も値段負けてくれないのかな?ケチなの?
「ねえ、真奈ちゃん 今日は何買うの?」
敬語になったり元に戻る基準って何だろ…。
買い物に来たことがないのか、氷波ちゃんはモロヘイヤを掲げて目を輝かせている。
あーあ、そこで萌やしの袋を持ったら兄さんからの好感度が上がるんだけど・・・
・・・何言ってるんだろうボクは。
「ねえ、真奈ちゃん どうしてどこかつまらなさそうな顔してるのかな?」
「え? そんな顔してたの?」
ただモロヘイヤを持つ氷波ちゃんの姿がシュールで真顔になっただけだと思うんだけど…。
いや、氷波ちゃんの言う通りそれだけじゃないのかもね。
真琴さんと一緒に暮らすと考えるとちょっぴり憂鬱になっちゃった。
別に真琴さんは悪くないんだけど、木崎本家はお父さんとお母さんを同時に亡くしたボクたちに愚痴を言うだけ言って何もしてくれなかったからね。
あのにっくき祭黄焔の家でさえ、ボクらを引き取ろうという話が出たのにね。
結局白崎桜先生の不思議パワーによって形だけは復活したみたいでその話はなくなったけど…あの時兄さんやボクを馬鹿にした真琴さんの両親だけは絶対に許すもんか!!
「え、えっと真奈ちゃん? どうしてそんなにゴーヤを睨み付けてるのかな?」
「わ!? びっくりした…ボーっとしてたよ」
突然の氷波ちゃんの言葉で思考を戻される。
やけに手が痛いと思ったらゴーヤを握りつぶしてたのか…店のおばさんがすごい苦笑いしてるよ…。
あーあ、散財だなあ。
「じゃあ私はここで帰るね バイバイ!」
「う、うん また明日ね」
すぐバイトに行くとはいえ、いったん家に帰ると考えると少し憂鬱だなあ。
まだ帰ってきてないといいけど…
「ただいまー」
「あ、おかえり真奈」
いたよ…
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