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笹倉の家は一般家庭にしては大きな庭があるくらいで、他はどこも変わらないように見える。
彼女の家に招待されるのは実は一度もなく、やや緊張しつつ入る。
「散らかっててごめんなさいね」
・・・まだ引っ越してきて間もないという話は本当のようだ。
以前も住んでいたはずだが家財道具を根こそぎ持って行っていたのか、周囲に家具はほとんどなく、ただ段ボールだけが山積みに置かれている。
「どうぞ座って! ふふふっ 本当にうれしいな~」
「俺はお前に対して申し訳なさの方が圧倒的に強いんだがな・・・元気そうで何より」
笹倉は俺に久々に会って非常にうれしそうに見える。
・・・その表情に嘘は全く見当たらない。
やはり俺はこいつだけは疑えないわ・・・。
「積もる話は後にしてだ・・・要件をさっさと済ませようか」
「ねえ真一兄ちゃん・・・そんな話は後にしないかな?」
「は・・・?」
家の外で言っていることと違うぞ?
笹倉はそう言うとどこからかお茶を持ってくる。
しかも沸かしたての熱いお茶だ。
・・・・・・・。
「お父様や妹がいるとゆっくりと話もできないんだもん そんな暗い話は置いておいて、楽しいお話しよう?」
「笹倉・・・・・」
言葉の節々に嫌な予感がするんだが・・・。
あと、前と後ろで文脈にあまりつながりがないぞ。
「笹倉、お前能力者だったのか?」
彼女には悪いが、俺は目的を進める。
さっき気になったことを聞かせてもらうのだ。
何故真奈たちの邪魔をしたのか、そもそも何故かこの世界にいたのか・・・
聞けばきりがないな。
「・・・そんなのどうだっていいでしょ? 吾輩と真一兄ちゃんの仲にはそんなことどうでもいいでしょ?」
「さっきの第一声についてだが、読心能力か未来予知の力が以前からあるんだとすればだな・・・「違う!!!!! 違うよ!!」」
笹倉が俺の言葉に割り込み、俺に掴みかからんばかりに顔を近づけて続ける。
「吾輩が・・・真一兄ちゃんに・・・そんなずるいことするわけ・・・ないでしょ・・・」
興奮しすぎているのか息切れしている。
一体何が彼女をそこまで駆り立てているのか?
笹倉とは対照的に俺は冷静なままだ。
別に俺としては都合があって俺と仲良くしたのだとしても怒るつもりはない。
何度も言ったように”俺は彼女を信じている”からだ。
・・・何でだ?
何でそんなに焦って慌てているんだ?
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