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路地裏で、血に塗れている少女が倒れていた。
海崎御南斗(かいざき みなと)。
彼の目の前で、死にかけの少女が助けを乞うた。
「たす……、けて」
風前の灯だった。ひとたび風が吹けば、今にも掻き消えてしまいそうな声と命。
「お、俺はどうすれば」
彼の口からは無意識にそんな言葉が出ていた。
「手を……とって。わたしの手を、わたしと――結んで」
その言葉の真の意味も分からずに、ただ彼女を救いたい一心で、彼は深く考えずに差し伸べられた手を取る。
ピリッと、針で刺したような痛みが全身を走った。
「ありがとう……」
彼女はそこで力を使い果たしたようで、安らかに眠ってしまった。
これが彼と彼女、二人の二度目の邂逅。運命の悪戯の始まり。
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