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あの人の中じゃ…
俺が子供とわかった今でも、それを受け入れていなくて。
だから俺にあんなことを。
俺が言いたいよ。
麻美を返してくれって。
あんたがあんな事さえ調べなかったら今頃は、
あの頃のまま、
あの辛い事件を乗り越えて、二人で将来を見据えて頑張ってた。
あんたが俺を子供だと認めていないように、
俺だってあんたを母親だと認めちゃいない。
来るんじゃなかった…
もしかしたら今までのことを心から詫びて、
そんなこと望んじゃいないけど、
抱きしめてくれるかも知れないなんて…
考えた俺が、
バカみたいだ!
「すまない。
頭が混乱してるんだ。
時々はしっかりして、
キミのことを話してたりするんだけど…
今日は調子が良くないらしい…」
無理矢理あの人を奥の部屋に押し込んで、
父親が言った。
「いえ。別に。
何の期待もしていなかったので…
部屋の方はこちらで解約の連絡をしますので、
長い間、お家賃の方、ありがとうございました…」
麻美の話もしていない。
だけど、
ここに居たら俺まで何かにとりつかれそうだ。
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