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「ちょっと、君」 「何でしょうか」 「今夜ヒマ?」 「はい?」  今夜って今だろう。  夜中十二時過ぎ。  あと四時間もすれば早朝と呼ばれる時間帯だ。 「何時に終わるの?」 「え」  もうここの階で終わりだけど。  なんだ。どういう事だ。  僕は最近二十歳になったからお酒に誘われているのか。  とは結城さんは知る由もないはずで。 「何時!」  叱りつけられるように言った結城さんは顔を上げ、僕を睨んだ。  何がしたいんだ、この人。 「もうすぐですけど」 「じゃあ付き合って」 「どうしてですか」  僕の受け答えは普通だと思う。  ほとんど話したこともない人に付き合ってと言われても、お付き合いを始める訳ではなく、どこかに行くということなんだろうけど、僕が彼女に誘われる理由が無かった。
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