一章 紅いパートナー

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「あんまり、調子こいてると、即死だぜ? ルーキーくん」  野卑た笑みを浮かべ、手形を投げるように返してきた。 「ふん、どうも」  どうやら、退屈することはないらしい。  門を潜ると、そこは高い高い壁に覆われたゆりかごだった。  もっとも、そこで揺られているのは屈強で命知らずの戦士しかいないのだが……  とにかくものすごい賑わいを見せていた。  通り中に怒号が飛び交い、道の端々で鍛冶屋が軒先で作業している。  思わず、熱気に圧倒されそうになった。 「おら、つったてんじゃねぇよ」  次々とやってくる戦士然とした者達、それぞれタイプはバラバラだが、自身からあふれ出る気迫を隠そうとしている人間はいなかった。  どの人物も生半可な実力ではなかった。  その人の流れをすり抜けるように移動していく。  もらった地図と照らし合わせながら歩いて行くと、ひときわ大きな建物が目に入ってきた。 「……あそこが職安か」  この街の行政が定めているギルドは四つある。  その中の一つ、主に探査系の仕事を請け負っているギルド"風の調べ"の建物だった。
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