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立派な石造りの柱の建物だった。
中は当然のごとく、人でごった返している……と思ったが、中に入ってみると案外人は少なかった。
その代わり、広々とした空間の奥に横長の大理石作りの豪勢なカウンターがある。その真ん中に暇そうにしている女がいた。
おそらく受付だろう。
桜色の長い髪をした女だった。
胸元が大胆に開いているところをみると、受付嬢というよりは……
ゆっくり近づいていくと、うたた寝しかけていた彼女もぱっと起きた。
というか、条件反射的な反応ではあったが、虚ろな目がぱっちりと開いていた。
「い、いらっひゃいませ~」
「……」
半眼になり、黙っていると、再び受付嬢は船をこぎだそうとしていた。
「おい」
「ひゃ、い、いらっひゃいま……」
「寝んなよ!」
バンっと、カウンターをたたくと今度は、軽い悲鳴を上げて後ろへと沈んでいった。
頭に手を当て、天を仰ぐしかなかった……
「ハッハッハッハッ! あんまり、うちの看板娘をいじめんでくれよ?」
すぐ横で声がした。
近づかれた気配はない……
視線を追ってみると、革製の鎧を着込んだ男が立っていた。
若干、顔は赤い……
「あいったったったった……」
頭とお尻を押さえながら、受付嬢がのろのろと立ち上がってきた。
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