一章 紅いパートナー

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「居眠りは大概にしとけよ? チェリス」 「もぉ! なんなのよ一体!」 「客だ。ばかやろう」 「え?」  そういい、やっとチェリスと呼ばれた娘は正面を向いた。 「あらあら、いらっしゃいませ~。え~と新顔の人ですね?」  すぐさま営業スマイルとなる。  もはや、こなれすぎていて機械的な動作にも見えなくもない…… 「推薦状はお持ちですか~??」  声音も、さっきよりも二オクターブほど高い……  黙って提示すると、それを一瞬だけ見てすぐに横においてしまった。  あれでちゃんと確認しているのかどうか、疑問も浮かぶが、とりあえず登録さえしてくれれば問題ない。 「はい、でしたら、ここに署名をお願いしますねぇ。ギルドカードを発行しますのでぇ~」 「おい、おい……チェリス」 「なんですぅ~? マスター・エイジさまぁ~」 「白い目で見られてっぞ。もう、バレバレなんだから、それやめろ……」  エイジと呼ばれた、男は頭が痛そうに抑えていた…… 「はっ! なにさ、私だってまだまだ若いってんだよ」  まさに百八十度……態度が逆転した。  怖いくらいの変わりっぷりだった。
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