一章 紅いパートナー

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「くっくっくっ」  エイジは意地悪く笑っていた。 「悪いな。こんな奴なんだよ。さって……」  彼は一歩近づき、チェリスがちゃんと読まなかった書類を手に取った。 「ふむ、ダラーラスからの推薦状か。久しぶりに聞く名前だな」 「ご存じで?」 「おう。俺がこっちに来る前に仕事を一緒にしたことがある」  懐かしそうに彼は語った。 「とりあえず、試験といこうか……えぇと? タタラ・アークエルくん」 「タタラと……呼び捨てでいいですよ。固ッ苦しいのは嫌いなんでよ」 「そりゃ、奇遇だ。俺も固いのはしょうに合わねぇんだよ」  ふふんっと、エイジは片唇をつり上げた。 「はいはい、マスターそこまでそこまで、仕事して、し、ご、と!」  面倒くさそうにチェリスが言う。  しかし、マスターと言うところ、このギルドの上位3名……実質のトップと変わらない実力の持ち主ということになる。  聞けば、この街にはマスターと呼ばれる人間が12名いる。  各ギルドに3名ずつの計算だ。  となれば、彼は街の中でもトップクラスの実力の持ち主ということになる。
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