一章 紅いパートナー

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「へいへい、分かってるよ。えぇと、確かアイツが次のパートナーを探してたな?」 「ん~? んん、あ~はいはい。あの子ね。そうね。さっきもどってきてたよ?」  チェリスはカウンターの奥に張られているボードを眺めた。 「なら、それでいいじゃねぇか」 「あいつなら、奥の部屋にいるよ」 「いいね、話が早いってのはいいことだ」  完全にタタラのこと抜きにして進めている。  とはいうものの、この最初の仕事……ギルド登録となる試験に関して彼は一切の発言権などない。 「まぁ、タタラ。ついてきな!」  彼はそう言うと、腰に付けていた瓶を取り出し、一気に煽った。  次の瞬間、むっとする酒気が舞った。  そんな彼を見て、一瞬チェリスを見るが、彼女は興味なさげに手をヒラヒラと振っていた。 「やれやれ……とんだところにきたもんだ」  彼のため息は誰も応える事なく、無へと帰って行った。               ・
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