五章 それは爆裂する

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 いい加減存在を忘れかけていた。  しかし、だったらどうだというのだろうか?  このまましっぽを巻いて逃げろと?  "まて、お前が死ぬとアリーシャが"  煩い……  確かに彼女のために探したが、本当にカムジャがいるのならば……  俺こそが……  そうだ……  偉そうなことを言っておきながら、俺も……  俺だって……あの時……  体の奥底からどす黒いものが沸き上がってくるのを他人事のように感じた。  あぁ……そうか……  俺も変わらないんだ……  彼女と何一つ変わらないのか……  しかし……  それはそれだろう。  "いいから、落ち着け。お前一人で敵う相手ではない"
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